在宅医療への取り組み

長年アガペクリニックに通院され、その後在宅医療を提供させていただき、昨年12月にご自宅でお看取りをしたM子さんのご家族からお便りをいただきました


「M子は明治44年生まれですから、お蔭さまで先月満102歳を超え、享年103歳の天寿を全うすることができました。丁度1年前に寝たきり状態になりましたものの、格別痛みも苦しむこともなく、永眠する前夜まで普通に食べ、家族と会話出来ての昇天でした。ただ、前夜の夕食時のみは手が震えて箸が使いにくそうな様子でした。特に、1年間の寝たきり生活でしたが褥創がまったくみられず、痛みとは無縁な最期でありましたのは、ひとえに母の医療・介護を担って下さった皆様のお蔭でした。ひとりの老人に家族3人を含め常時16人ものメンバーで入れ替わり面倒をみたのでした。主治医・ケアマネージャー・ホームヘルパー・訪問看護師・訪問入浴サービス・リハビリマッサージ・介護用品会社の方々に心からのケアをいただいた賜であります。お世話いただいた皆様には感謝の言葉もありません。そのお蔭で、入院も施設入所も1日とてなく、我が家の自分の部屋で最期を迎えさせていただきました。
前夜の最後の言葉は「サンキュー!サンキュー!」と熱心な法華経信者らしく「仏様・・・仏様・・・」とのつぶやきでした。」

「母の見送りは自宅葬、自宅出棺としました。葬祭の専門家にききますと名古屋周辺の都市部では、自宅葬は今や1%もないそうですから、入院も施設入所も1日とてなく、自宅の自分の部屋で家族の身近で最期を迎えたいとの母の願いをかなえることができました。」

M子さんは、本当に笑顔の似合う素敵なおばあちゃんでした。最後の訪問の際に、ほとんど耳も聞こえない状況でしたが、いつも通り聴診をしたあと両手を握って「ありがとう」と言ってくれたことは忘れられない思い出です。
 ようやく国の施策も「地域包括ケア」に重点が置かれるようになりました。当院に通院することが難しくなってきた患者さんも年々増加しています。アガペクリニックでは、そのような方々へ在宅診療を提供し、地域で患者さんの日常を支えるような働きを今後も担っていきたいと願っております。

(お手紙はご家族様の了承を得て掲載させていただいております)
             閉じる